― 構造色の「締まり」と「緩み」のイメージ ―

この記事は、すでに公開しているブルー個体比較の記事を、構造色の視点から補足するための整理メモです。

ニジイロクワガタのブルーを考えるとき、どうしても色名や見た目の印象に意識が向きがちです。
ただ、その背後には構造色特有の成り立ちがあります。

ここでは、ニジイロクワガタの発色を決めていると考えられるクチクラ内部の多層構造について、観察結果をもとにした模式的なイメージを整理してみます。

ここで示す「締まり」「緩み」は、ニジイロクワガタのクチクラ構造を実際に観察・測定した結果ではありません。
構造色研究で用いられる多層干渉モデルを参考に、観察される色の違いを理解するための模式的なイメージとして整理したものです。

ニジイロクワガタが実際にどのような光学構造を持つのかについては、十分な検証資料を確認できていません。
そのため、本記事はニジイロクワガタの発色機構を説明するものではなく、
多層干渉モデルを参考に観察された色彩差を整理するための模式的な考察です。

構造色と層構造について

ニジイロクワガタの発色は、色素によるものではなく、クチクラ内部に形成される多層構造による光の反射で生じる、いわゆる構造色です。

この前提については、
ニジイロクワガタの発色を決める要素
で整理しています。

多層構造の層間隔や均一性によって、どの波長の光が強調されるか、また観察角度によって色がどの程度変化するかが変わる。
そう見えます。

層が締まった構造を仮定した場合のイメージ

層が比較的密に形成された場合を思い描いてみます。

多層干渉モデルで考えると、層間隔が短い場合には、反射ピークが短波長側(青〜青紫)に寄りやすい状態です。
観察角度を変えても反射ピークが大きく動きにくく、青が芯のように残りやすい見え方になります。

青が細くても安定して見え、黒に沈みにくい。
角度による色変化も比較的小さい。
そうした印象につながります。

層が緩んだ構造を仮定した場合のイメージ

層がやや厚く、間隔が広めに形成された場合を考えます。

多層干渉モデルで考えると、反射ピークは中波長側(紫紺〜緑寄り)へ移動しやすく、観察角度によってピークが動きやすくなります。
そのため、色の印象が角度に依存しやすい傾向が現れます。

面として青が出やすく、見栄えは良い。
一方で、角度を変えると色調が移ろいやすい。
そうした挙動として現れるように感じています。

「締まり」と「緩み」の対比(簡易イメージ)

▼:締まった構造

|||||||||||||   ← 層が密
|||||||||||||
|||||||||||||
→ 青が残りやすい

▼:緩んだ構造

|   |   |   |  ← 層が広い
|   |   |   |
|   |   |   |
→ 色が移ろいやすい

※この図はニジイロクワガタのクチクラ構造を直接観察したものではなく、
既存研究と飼育観察をもとに発色の見え方を整理するための概念図です。
層間隔や反射波長を実測したものではありません。

まとめ

同じ「ブルー」と見える個体でも、その背景にある構造は一様ではないのかもしれません。

サイズや成長過程の違いが層構造の締まり方や緩み方に影響し、それが意味合いの異なるブルーとして現れている可能性があります。

「安定して見える青」と「角度や条件で印象が変わりやすい青」。
この違いについては、
なぜ青は出たり、出なかったりするのか
でも、別の角度から整理しています。

この見方を前提に、すでに公開している
「見えたブルーを、そのまま比べてみる」では、
同系統・別サイズ個体のブルーを写真で比較しています。

※本記事で使っている用語については、
こちらのページで整理しています。
用語整理ページ


本記事は、
ブルー個体比較を「どう見るか」を整理するための補助線です。

本記事は、ブルー個体比較をどう見るか、そのための補助線です。
実際の見え方については、別記事で写真比較を行っています。

▼ 見えたブルーを、そのまま比べてみる

※補足
ニジイロクワガタの色が「色素ではない」という前提については、
以下の記事で整理しています。

▼ ニジイロクワガタ 色の違い ≠ 色素の違い