― 同系統・別サイズ個体の比較記録 ―
ニジイロクワガタの「ブルー」と一口に言っても、その見え方には個体ごとの差があります。
私はこれまで、比較的どの角度から見てもブルーに見える個体をひとつの基準として、選別と累代を行ってきました。
調べることと飼育を重ねる中で感じているのは、このタイプのブルーは、蛹期から羽化・硬化にかけての過程でクチクラの層構造が比較的密に形成された可能性がある場合に、現れやすいのではないかということです。
もちろん、発色はそれだけで決まるものではありません。
遺伝的背景や成長速度、温湿度、栄養状態、さらには観察条件など、複数の要因が重なった結果として立ち上がってくるものだと考えています。
今回は、同系統でありながらサイズの異なる2頭を並べ、ブルーの出方や残り方にどのような違いがあるのかを、写真をもとに記録として残してみました。
本記事は結論を導くことが目的ではなく、「見えたものを、見えたまま」残すための観察記録です。
同系統個体の比較(Eライン/Zライン)
※ 以下に、EラインとZラインの♂個体の比較写真を掲載します。

比較した個体について
ブルーEライン(♂43mm・CBF2)

ブルーZライン(♂51mm・CBF3)

血統背景は近く、
主な違いは体サイズと育成プロセスにあります。
同系統個体の比較(Eライン/Zライン)
ブルーEライン(43mm)
- 上翅に青が細く走る
- 角度を変えても、青が芯として残る
- 黒に沈みきらず、青が浮いて見える
ブルーZライン(51mm)
- 正面では青が広く見える
- 角度を変えると、紫紺〜暗色に移行しやすい
- 色に厚みや重さを感じる
※ 本記事は優劣を論じるものではなく、色の挙動の違いとして整理しています。
大型化とブルーの関係について考えたこと
今年はこれまでとは少し方針を変え、大型化を意識し、栄養価の高いマットでの飼育にも取り組んでいます。
観察を続ける中で、大型化を強く意識した個体では、構造色が面として出やすくなる一方、見る角度によって色の印象が変わりやすくなるのではないか、と感じるようになりました。
小型個体では、色の出る面積は小さくても、青が比較的安定して残るように見える場合があります。
もしこの傾向が一定の再現性を持つのであれば、大型になる代わりに「どの角度から見てもブルーに寄る個体」の発生率が下がる可能性も考えられます。
現時点で断定できる段階ではありませんが、栄養価の高いマットのみを使用する方針はいったん見直し、昨年まで使用していたマットも併用することにしました。
サイズとブルーの質の関係については、今後も意識して観察を続けていきたいところです。
今回の比較からみえたこと
今回の2頭は、どちらも「ブルー」と認識できる個体です。ただし、その性質は同じではありません
面として広がるブルー。
芯として残るブルー。
成長過程やサイズの違いによって、構造色の現れ方が変わる一例として、今回の記録を残しておきたいと思います。
補足:別ライン個体におけるブルーの見え方
参考として、今回とは異なるラインの個体写真も掲載しています。
ブルーFライン(♂43mm)、ブルーYライン(♂53mm)。
いずれも「ブルー」と認識できる個体ですが、発色の出方や残り方、角度による印象の変化には幅があります。
本記事の主眼は、系統間の優劣を論じることではありません。
ブルーの見え方が単一ではないという点を、視覚的に共有することにあります。
ブルーFライン(♂43mm)

ブルーYライン(♂53mm)

最後に
ブルーを固定する、定義する、といった枠組みで語れるほど単純な現象ではないと感じています。
それでも、「同じブルーでも、これだけ違って見える」という事実は、写真とともに残しておきたいと思いました。
これは結論ではなく、記録です。
ブルーの揺らぎの一場面として。
※本記事で使っている用語については、
こちらのページで整理しています。
→用語整理ページ
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ニジイロクワガタの色は「色素」ではなく、「構造」によって生まれている。
ブルーやグリーンの違いを、発色の仕組みから整理した基礎解説記事。
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青紋は本当に「固定できる形質」なのか。
観察と累代の実例をもとに、「固定」という言葉の難しさを考える。
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紫紺は遺伝形質なのか、それとも見え方の傾向なのか。
色の呼び方と遺伝様式のズレを、事例とともに検討する。
