※本記事はニジイロクワガタの「固定」という考え方について書いた記事の補足です

SNSを見ていると、

  • 「CBF7で、ほぼ同じ色ばかり出た」
  • 「累代を重ねれば、この色は固定できる」

といった投稿を目にすることがあります。

実際、同じような色味の個体が複数並んだ写真を見ると、
「ここまで揃っているなら、血統として固定できているのでは」
と感じるのも、とても自然なことだと思います。

私自身も、以前はそう考えていました。

なぜ「固定できているように」見えるのか

ただ、飼育数が増え、観察を重ねる中で、
少しずつ見え方が変わってきました。

例えば、

  • 1ラインで数百頭規模を管理している
  • その中から、狙った表現の個体だけを選別している

という前提がある場合、
「同じ色ばかり出ている」ように見える写真が生まれるのは、
ある意味とても自然なことです。

しかしそれは、
次世代の全体像をそのまま示しているとは限らない
という点も、同時に意識する必要があります。

ここで重要なのは、
誰かが誤解を招くことを意図している、という話ではありません。
「そう見えてしまう条件がそろっている」というだけのことです。

構造色は「固定」という言葉と噛み合いにくい

ニジイロクワガタの発色は、
色素によるものではなく、
クチクラ内部の多層構造による構造色です。

この構造色は、

  • 遺伝だけで決まるものではなく
  • 蛹期から羽化・硬化にかけての条件
  • 個体ごとの差や揺らぎ

といった複数の要因が重なった結果として、
そのときどきに「見えている色」が立ち上がります。

そのため、

「累代を重ねれば、同じ色だけが出るようになる」

という、いわゆるメンデル遺伝的な発想は、
構造色とはあまり相性がよいとは言えません。

もちろん、
遺伝が関係していない、という意味ではありません。
ただ、オン/オフのような単純な固定・非固定の枠では、
説明しきれない領域がある、ということです。

それでも「揃って見える」理由

一方で、累代と選別を重ねることで、

・色味の傾向
・出やすい方向性

が、次第に揃ってくることも確かにあります。

ただしそれは、
色そのものが固定されたというよりも、

発色しやすい条件や構造が、
選別によって集積されてきた結果

と捉えた方が、
実際の観察には近いように感じています。

固定されないから意味がない、ということではありません。
むしろ、
どのような傾向が、どのように集まっていくのかを追うこと自体が、
ニジイロクワガタ飼育の面白さなのだと思います。

私が今、大切にしている視点

そのため私は、
ニジイロクワガタの色について、

「完全に固定できる/できない」

という二択で考えるのではなく、

どのような条件と選別の積み重ねによって、
その色が“見えやすくなっているのか”

を記録していくことの方が、
大切なのではないかと考えるようになりました。

同じ色に見えていても、
そこに至る過程や条件は、決して一つではありません。

この考え方は、
先に書いた「固定」という言葉の整理ともつながっており、
かつての自分自身への整理としても、
とても腑に落ちています。

※本記事は、「ニジイロクワガタにおける固定という考え方について」の補足として、
 なぜ固定されているように見えるのかという体感的な部分を整理したものです